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dimanche 6 mai 2012

写真と認知神経科学<2>




おそらくは科学研究の効率化を当初の目的として始まったネットワーク・インフラの拡充は(インターネットの端緒は分子生物学データベースの相互乗り入れだ と読んだ記憶があります)、悲しい程の見事さで商業主義との親和性を示しました。消費生活の様相は大きく様変わりしましたが、更に巨大資本の利潤の追求は、ネットワークと脳の境界を越え、消費志向に関してヒトの考えを読みとるシステムの運用を既に始めています。例えば、取り立てて目的無く無意識にネットサーフィンを一定 時間繰り返したあなたは、そのブラウザの「履歴」欄に、秒単位でのあなたの興味の変遷の記録を見出すことができるでしょう。それは、(受動的にではあれ) 紛れもなくあなたの思推対象の視覚化です。

あなたの興味の変遷はあなたがそれと意識することなく記録され、抽出され、共有され、あなたの購買傾向の予測の為に無限に再利用されます。おそらくあなたのメールボックスには毎日無数のスパムが舞い込んでいることと思います。あなたにオススメの書籍。あなたにお勧めの旅行。あなたにお勧めのファンド。オススメの出会い?

この、もはや当たり前とさえ思える身近な体験についての小さな考察はそれでも、ある種の薄気味悪さとともに、われわれが普段創造的であると考えている幾つかの心のプロセスが、実は「創造」などという高邁なものではなく、単なる選択の組み合わせに過ぎないのだと言う事実にも気づかせてくれます。誰かがあらかじめ拵えておいてくれた選択肢の一つ一つを順にクリックすると き、われわれはあたかも自由に道筋を選んでいるかのような感覚を味わうかもしれません。しかしこのとき、我々が実際に行っていることは、既製の選択肢の組み合わせにより、あらかじめ予測されたいくつかの結果の一つを選びとっているに過ぎないのです。

選択肢が既製であるということそれ自体は、必ずしも間違ったことであるとは思いません。われわれが社会生活を営み、快適で健康に暮らすことを望む以上、経済効率を大きく逸脱した選択は現実として共同体全体への不利益以外の何物でもないからです。最速で東京に着きたいあなたは、ハンドメイドの複葉機や気球ではなく、もちろん定時の「のぞみ」に乗るべきです。(続く)


 Kodak PORTRA 400,  Pentax 67, smc  165 mm F2.8 
パリ東駅界隈  2012年

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