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samedi 8 mai 2010

写真のはなし(1)

僕にとってカメラは、長い間、旅のお荷物でした。

軽くて壊れにくく、荷造りの時もなるべく気を使わずにすむように。あるいは無くしてもさほど苦にならぬような、使い捨てカメラの"写るんです”や、丈夫な殻を持つオリンパスのμ(35mm)を好んで使っていました。実際これらのカメラは値段からは考えられぬほどきれいな画を出してくれて。そして、もっと深い写真そのものの楽しさに気付くほどには、僕はまだ成熟していませんでした。

単車のシートにテントや所帯道具をくくりつけて遠乗りを楽しむ旅や、大きなリュックを背負って欧州の安宿を巡るような、ある意味(荷物にとって)過酷な旅のスタイルには、本格的で重厚なカメラはそぐわなかった、そう云うことだと思います。うんと無理をしてかなり若い頃手に入れた一眼レフの魅力に気付くのに、僕にはあろうことか30年ちかく必要でした。(つづく)

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