
ずいぶんと昔の話になり恐縮ですが。中学生の頃、シャシンの写りと云うものは絞りとシャッター速度だけで決まると。このことを理解した時に、少なからず感動を覚えました。潔い。シャシンは絞りとシャッター速度、この二つだけで決まる。露出の選択が、光の捉えかたを確定する。このことは、シンプルな物理法則の数式が万物の存在をも示し得るのに似て、本当に美しくさえ感じました。
カメラには、露出の他に触るところなど無かった。露出を定めた後は、しっかり構えてシャッターを切るだけだった。どんなに高級なカメラも、どんなにベテランの写真家も。その事実が、僕にはこの上なく素晴らしいことに思えました。高級なレンズや、フォーマットとフイルムの選択はあれども、それからフィルターの選択程度はあれども。なにものも光の像の結び方には手を出せない。photography<光画>といわれる所以で。光を読んでシャッターを切る、スポーツにも似たこの潔さこそが、僕にとってはシャシンの魅力そのもので。

たといデジタル化の波からは逃れられぬとしても、せめて単純に。フイルムを撮像素子に置き換えただけの、複雑なモードなどを持たぬ純粋なカメラはできないものかと、そう心から思います。大の大人が血道を上げるには、今時のデジタルカメラの設計の理念は余りにも稚拙に思えて、ですね。売れないモノは安くもならない、消費と流通の原則を十分に判っていても。

Fujicolor PRO 400(PN400N 220) , Pentax 645, smc-A 55mm F2.8
Kodak, T-MAX 400, Pentax 645, smc-A 55mm F2.8
Fujichrome Sensia II, Pentax ME Super, smc-m 50mm F1.4
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